PRIDEグランプリ2005

PRIDEグランプリ2005ミドル級は波乱が起こった。絶対王者ヴァンダレイ・シウバが準決勝でリカルド・アローナに判定で3‐0で敗北した。アローナはPRIDEとは別の打撃無しの寝技だけの世界大会で二度に渡って優勝しているつわものだ。ヴァンダレイ・シウバに対してタックルを食らわせて倒し、終始上から攻撃し続け、常に試合の主導権を奪い続けた。敗戦後のシウバの表情は呆然としていた。決勝はシウバと同じシュート・ボクセ・アカデミーのマウリシオ・ショーグン。すごい勢いでヒカルド・アローナを倒し、あっという間に優勝してしまった。シウバもかなり喜んでいた。一位二位三位をブラジル勢が独占した形となった。ブラジル強し…。
注目のヘビー級王者争奪のエメリヤー・エンコ・ヒョードルミルコ・クロコップ戦!!二年前、ミルコがヒョードルに対して挑戦を表明した。しかしそれからミルコはケビン・ランデルマンに敗れアントニオ・ホドリコ・ノゲイラに敗れ、今回の戦いに至るまでのみちのりは決して平坦なものではなかった。やっと実現した戦いに賭ける思いは大きい。ミルコは十年前に戦争で死んだ父のためにも絶対に勝つ意気込みだった。
立ち技の最強のミルコ。彼のミドルキックがヒョードルの脇腹に突き刺さるか、それともロシアン・ラスト・エンペラー、ヒョードルの氷の拳がミルコの顔面を砕くか…!
試合は第一ラウンドから凄まじい攻防だった。前半はミルコの得意なスタンディング・ファイト。完全にヘビー級とは思えないような凄まじいスピードの殴り合い!!ミルコのミドルキックがヒョードルの脇腹を捕らえ赤く変色する…。なんどもタックルを切るミルコだったが遂に捕まった。ガードポジションからの攻撃を防ぐことに関しても超一級品のミルコ。ヒョードルの氷の拳が鼻先を掠める。結局ミルコは第一ラウンドは倒されてから下から攻撃を入れるも立てず仕舞いだった。第二ラウンドは以外にもヒョードルのローからの上下のコンビネーションで始まった。うち何発かはヒットした。両者とも第一ラウンドに賭けていた様子で動きが悪くなっていた。一ラウンド目と同じで途中までスタンディングで途中からグラウンドだ
った。ヒョードルは何度かサイドポジションやマウントポジションを取りかけるがミルコがうまく凌いだ。その攻防は全て目にも止まらない速さで、まさに世界最高峰だった。その調子で最終ラウンドまでおわった。判定の結果は3‐0でエメリヤーエンコヒョードルだった。
ヒョードルは強い。強すぎる。ノゲイラやミルコですら歯が立たない。たぶんプライドのルールではヴァンダレイ・シウバやエメリヤー・エンコ・ヒョードルやリカルド・アローナのような、スタンディングがよくてガードポジション上からのパウンドで攻める戦型が有利なように思えた。ミルコのよいにスタンディングのみやノゲイラのように柔術のみの戦いかたは苦しいのではないかと思った。だが今回のPRIDEはとても面白かった。役者もよかったし内容もレベルが高かった。